ライトノベルで学ぶ 行政書士試験過去問

行政書士試験の最重要過去問を日本一わかりやすく解説

憲法1-3 基本的人権総論 2006年問3 / 行政書士試験の勉強は、開業の準備をしてから始めよう

私人間における人権規定の効力に関する次の記述のうち、最高裁判所判例の述べるところはどれか。

1、憲法の定める基本的人権のうち、重要なものは単に国家権力に対する自由権を保障するのみならず、社会生活の秩序原理でもある。これは、一定の範囲において、国民相互間の法律関係に対して、直接の意味を有する。
2、人の思想、信条は身体と同様、本来自由であるべきものであり、その自由は憲法19条の保障するところでもあるから、企業が労働者を雇用する場合等、一方が他方より優越した地位にある場合に、その意に反してみだりにこれを犯してはならないことは、明白である。
3、日本国憲法は価値中立的な秩序ではなく、その基本的人権の章において、客観的な価値秩序を定立している。この価値体系は、憲法上の基本決定として、法のすべての領域で通用する。いかなる民法上の規定もこの価値体系と矛盾してはならず、あらゆる規定はこの価値体系の精神において解釈されなければならない。
4、私人による差別的行為であっても、それが公権力との重要な関わり合いの下で生じた場合や、その私人が国の行為に準じるような高度に公的な機能を行使している場合は、法の下の平等を定める憲法14条が直接に適用される。
5、憲法19条、21条、23条等のいわゆる自由権的基本権の保障規定は、国又は公共団体の統治行動に対して、個人の基本的な自由と平和等を保障することを目的とした規定であって、専ら国又は公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互間の関係について、当然に、適用ないし類推適用されるものではない。



胡桃「これは判例を覚えていれば解ける簡単な問題だわ」
建太郎「うん……? 簡単なのかこの問題が……」






胡桃「まず、問題となっている条文を取り上げておくわよ」

憲法
第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
○2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

第二十三条 学問の自由は、これを保障する。

胡桃「この三つは、自由権的基本権と呼ばれているわ」
建太郎「つまり、国から、これらの権利について干渉されることはないという意味だな」
胡桃「そうよ。自由権的基本権は、専ら、国又は公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない。とされているのよ」
建太郎「国又は公共団体と個人との関係だけなんだな」
胡桃「それを踏まえたうえで1から見ていくわよ」
建太郎「1は、間違いだな。国民相互間の法律関係に対して、直接の意味を有するわけではないと」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「企業と労働者の関係は、私人間の問題だから、自由権的基本権が適用されるわけではないと。企業はどんな条件で労働者を雇うか自由に決められるわけだな」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「民法上の問題は、私人間の問題だから、自由権的基本権が適用されるわけではない。私的自治の原則に委ねられていると」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「まず、憲法14条はこの規定だな」

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
○2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
○3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

胡桃「そうよ。基本的人権を保障している規定だわ。この規定が私人間の関係にも適用されるのかどうかが問題になるのよ」
建太郎「企業と労働者の関係だと、労働者が企業に服従せざるを得なくなるよな。対等に扱われないのは、本来、憲法14条に反する?」
胡桃「そうね。でも、そんなことでいちいち、憲法14条を持ち出していたら、やりづらいでしょ」
建太郎「そうなると、やはり、直接に適用されることはないと」
胡桃「そうよ。労働法などで解決してよねということよ。5はどうかしら?」
建太郎「まさに胡桃が解説した通りのことだな」
胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「5なんだな」






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