ライトノベルで学ぶ 行政書士試験過去問

行政書士試験の最重要過去問を日本一わかりやすく解説

身寄りがいない人が遺言書を書く場合は遺言執行者の指定が重要 / 行政書士だけでは食えない今の時代を生き抜くためのヒントは孫子の兵法にあり

身寄りのない人が遺言書を残さずに死亡した場合は、遺産は国庫に帰属することになります。

身寄りがないというのは法定相続人がいないと言う意味です。

具体的には、次のような相続人がいないということです。

・配偶者

被相続人の子、孫、曽孫

被相続人直系尊属、父母、祖父母

被相続人の兄弟姉妹、甥、姪、姪孫(又甥、又姪)

※注意したいのは、従兄弟、従姉妹やおじおばは法定相続人ではないということです。遺言書無しでは、彼らに遺産を承継させることは難しいです。



上記のような法定相続人が存在しない具体的な事例とは、

・両親や祖父母がすでに亡くなっており、本人は一人っ子で未婚のまま亡くなった。

・かつては本人に配偶者や子、兄弟がいたものの、全員が死亡しており、孫や甥姪、姪孫もいない。

このように一族が死に絶えて、孤独な境遇にあるような場合です。

尤も、このような場合でも、従兄弟、従姉妹やその子供、あるいはおじおばと言った身内がいるというケースはあると思います。そして、このような境遇の場合、葬儀の手配や遺産の整理は彼らに委ねる方もいるかもしれません。

しかし、彼らは法定相続人ではありません。迷惑をかけたとしても、一円の財産も彼らに渡ることがないのです。

ですから、従兄弟、従姉妹やその子供、あるいはおじおばを頼るしかないという場合は、遺言書によって、彼らに幾ばくかの遺産が渡るように指定しておくのが望ましいでしょう。

従兄弟、従姉妹やその子供、あるいはおじおばに迷惑をかけたくないという場合は、他の第三者に自分の死後のことを委ねることになります。

親友がいれば、彼らに委ねてもよいでしょうし、目ぼしい人が見当たらない場合は、弁護士や司法書士行政書士などの専門家に委ねることもできます。

法定相続人ではない者に死後のことを委ねる際には、遺言書を書き残すばかりでなく、遺言書の中で遺言執行者を指定しておくことが重要です。

遺言執行者というのは、遺言書の内容が実行されるように手配したり監督したりする人のことです。必ずしも、専門家である必要はなく、信頼できる従兄弟や親友などを遺言執行者として指定しても構いません。

遺言執行者を指定しておかなければ、遺言書の存在自体が気付かれないままに、すべての遺産が国庫に帰属してしまうこともあり得ます。

法定相続人がいなくて、遺言書も残さず、あるいは遺言書を残したとしても遺言執行者がいない場合は、相続人の不存在に該当し、家庭裁判所の監督下で遺産の管理、清算が行われます。

家庭裁判所によって、相続財産管理人が選任されて、相続財産の清算や相続人の捜索などが行われます。この際に、有効な遺言書が発見されれば、遺言書の内容通りに相続手続きが行われるケースもありますが、発見されなければ、そのまま、国庫に帰属してしまうことになります。



民法条文
第二章 相続人
(相続に関する胎児の権利能力)
第八百八十六条  胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2  前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条  被相続人の子は、相続人となる。
2  被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人直系卑属でない者は、この限りでない。
3  前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条  次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一  被相続人直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二  被相続人の兄弟姉妹
2  第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。

(配偶者の相続権)
第八百九十条  被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

第六章 相続人の不存在
(相続財産法人の成立)
第九百五十一条  相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。

(相続財産の管理人の選任)
第九百五十二条  前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
2  前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。

(不在者の財産の管理人に関する規定の準用)
第九百五十三条  第二十七条から第二十九条までの規定は、前条第一項の相続財産の管理人(以下この章において単に「相続財産の管理人」という。)について準用する。

(相続財産の管理人の報告)
第九百五十四条  相続財産の管理人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、その請求をした者に相続財産の状況を報告しなければならない。

(相続財産法人の不成立)
第九百五十五条  相続人のあることが明らかになったときは、第九百五十一条の法人は、成立しなかったものとみなす。ただし、相続財産の管理人がその権限内でした行為の効力を妨げない。

(相続財産の管理人の代理権の消滅)
第九百五十六条  相続財産の管理人の代理権は、相続人が相続の承認をした時に消滅する。
2  前項の場合には、相続財産の管理人は、遅滞なく相続人に対して管理の計算をしなければならない。

(相続債権者及び受遺者に対する弁済)
第九百五十七条  第九百五十二条第二項の公告があった後二箇月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産の管理人は、遅滞なく、すべての相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
2  第九百二十七条第二項から第四項まで及び第九百二十八条から第九百三十五条まで(第九百三十二条ただし書を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。

(相続人の捜索の公告)
第九百五十八条  前条第一項の期間の満了後、なお相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所は、相続財産の管理人又は検察官の請求によって、相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、六箇月を下ることができない。

(権利を主張する者がない場合)
第九百五十八条の二  前条の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の管理人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。

特別縁故者に対する相続財産の分与)
第九百五十八条の三  前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2  前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

(残余財産の国庫への帰属)
第九百五十九条  前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第九百五十六条第二項の規定を準用する。



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