ライトノベルで学ぶ 行政書士試験過去問

行政書士試験の最重要過去問を日本一わかりやすく解説

憲法1-17 精神的自由 2011年問5 / 行政書士試験の勉強は、開業の準備をしてから始めよう

写真家Aが自らの作品集をある出版社から販売したところ、これに収録された作品のいくつかが刑法175条にいうわいせつな図画に該当するとして、検察官によって起訴された。自分が無罪であることを確信するAは、裁判の場で自らの口から表現の自由を主張できるように憲法の勉強を始め、次のような考え方があることを知った。このうち、本事案において、主張するのに最も適しない考え方はどれか。

1、わいせつ表現についても、表現の自由の価値に比重を置いて、わいせつの定義を厳格にしぼり、規制が及ぶ範囲をできるだけ限定していく必要がある。
2、表現の自由は、公共の福祉によって、制約されると考える場合であっても、これは、他人の人権との矛盾、衝突を調整するための内在的制約と解するべきである。
3、憲法21条2項後段が、検閲の禁止を定めているように、表現活動の事前抑制は、原則として憲法上許されない。
4、表現の自由に対する規制が過度に広汎な場合は、当事者は、仮想の第三者に法令が適用されたとき違憲となりうることを理由に、法令全体の違憲性を主張できる。
5、文書の芸術的、思想的価値と、文書によって生じる法的利益の侵害とを衡量して、前者の重要性が後者を上回るときにまで、刑罰を科するのは違憲である。



建太郎「うーむ。これも国語の問題なのか?」
胡桃「半分、国語だわね。建太郎が、写真家Aだったとして、自らの無罪を主張するには、どれを主張すればいいか考えるだけよ」



胡桃「まずは、条文を確認しておくわよ」

刑法
(わいせつ物頒布等)
第百七十五条 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

憲法
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
○2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

胡桃「じゃあ、建太郎だったら、選択肢のうち、どれを主張する?」
建太郎「まず、1は主張するな。わいせつの範囲を狭く解することで自分の作品がわいせつじゃないと主張しやすくなるから」
胡桃「他には?」
建太郎「4も主張できるな。刑法第百七十五条なんて、あいまいな規制じゃないか。過度に広汎だから違憲だと主張できる」
胡桃「他には?」
建太郎「5も主張できるな。俺の写真の芸術性の方が重要だろって、突っ込めるよな」
胡桃「2と3はどうなのかしら?」
建太郎「うーん。ちょっとよくわからないなあ」
胡桃「選択肢2の言いたいことは、表現の自由は他人の人権を侵害する場合は制約すべきだということよ。ところで、わいせつ物頒布って、他人の人権を侵害していると言えるかしら?」
建太郎「うーん。むしろ、人権侵害どころか、エロジジイどもが喜ぶんじゃないの? 例えば、胡桃の水着写真を並べても人権侵害だと言うおじさんはいないよな」
胡桃「変なこと言わないで!私の人権が侵害されるわ!」
建太郎「それとは別の話だし」
胡桃「とにかく、言いたいことはわかったわね。わいせつ物頒布等の犯罪は、他人の人権を侵害するわけじゃないから、公共の福祉によって、制約すべきじゃないということよ」
建太郎「2の主張も使えるわけだ。ということは、残りは3だな」
胡桃「今回、問題になっているのは、写真家Aが作品を発表した後で、検察官が起訴したことよね。つまり、事後抑制の問題よ」
建太郎「なるほど、検閲のように事前抑制しているわけではないから、3の主張は的外れだということだな」
胡桃「そうよ。理解できたかしら」
建太郎「OK」






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