ライトノベルで学ぶ 行政書士試験過去問

行政書士試験の最重要過去問を日本一わかりやすく解説

民法1-1 私権の主体 2005年問24 / 行政書士試験の勉強は、開業の準備をしてから始めよう


制限行為能力制度に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

1、自然人ばかりでなく法人も、成年後見人になることができるが、株式会社等の営利法人は、成年後見人になることができない。
2、制限行為能力を理由に法律行為が取り消された場合に、制限行為能力者は、その行為によって利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
3、本人以外の者の請求によって、保佐開始の審判をするためには、本人の同意が必要である。
4、精神上の障害により、事理を弁識する能力が不十分である者について、本人、配偶者、4親等内の親族は、補助開始の審判を請求することはできるが、後見人や保佐人はこれをすることができない。
5、補助人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要と認める時は、さらに補助人を選任することができる。



胡桃「今日から民法に入るわよ。まず、制限行為能力制度よ。準備運動といったところね。答えはわかるわね?」
建太郎「うっ……。ちょっと待て、簡単そうに見えて難しくないか?」
胡桃「そんなことないわよ。条文を暗記していれば解ける問題だわ」



胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「法人でも、成年後見人になることができるよな。株式会社についても、特に制約はないんじゃない?」
胡桃「条文を確認するわよ」

(後見人の欠格事由)
第八百四十七条 次に掲げる者は、後見人となることができない。
一 未成年者
二 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
三 破産者
四 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
五 行方の知れない者

胡桃「このいずれにも、法人や株式会社がダメとは書かれていないわね。さらに、もう一つ」

成年後見人の選任)
第八百四十三条 家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。
2 成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、成年後見人を選任する。
3 成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により又は職権で、更に成年後見人を選任することができる。
4 成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。

胡桃「この条文の4項のカッコ書きよ。分かるわね」
建太郎「うん。(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)とあるから、法人が成年後見人になることもありうると言うことだな」

胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「その通りでよかったんじゃないかな」
胡桃「条文を確認するわよ」

(取消しの効果)
第百二十一条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

胡桃「取り消しには遡及効があることと、制限行為能力者の取り消しは、現存利益の返還のみで足りるということね。条文そのままだから、ミスしてはダメよ」
建太郎「OK」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「うーん。本人の同意が必要なのは、補助開始の審判じゃなかった?」

(保佐開始の審判)
第十一条 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない。

(補助開始の審判)
第十五条 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。
2 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助開始の審判は、第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない。

胡桃「その通りよ。ついでに後見開始の審判の要件も併せて押さえておいてね。この三つは暗記してよ」

(後見開始の審判)
第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

建太郎「OK」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「第十五条にある通りだな。後見人や保佐人もすることができる。つまり、症状が回復した場合は、補助人の制度に切り替えることもありうるということだな」
胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「その通りでいいんじゃないの?」
胡桃「まず、選任に関する条文を確認するわよ」

(補助人及び臨時補助人の選任等)
第八百七十六条の七 家庭裁判所は、補助開始の審判をするときは、職権で、補助人を選任する。
2 第八百四十三条第二項から第四項まで及び第八百四十四条から第八百四十七条までの規定は、補助人について準用する。
3 補助人又はその代表する者と被補助人との利益が相反する行為については、補助人は、臨時補助人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、補助監督人がある場合は、この限りでない。

胡桃「今回問題になっているのは次の条文ね」

成年後見人の選任)
第八百四十三条 家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。
2 成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、成年後見人を選任する。
3 成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により又は職権で、更に成年後見人を選任することができる。
4 成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。

建太郎「3項だな。成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により又は職権で、更に成年後見人を選任することができる。この規定が準用されていると」
胡桃「そうよ。というわけで答えはどれかしら?」
建太郎「正しいのは、2と5の二つだな」









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