ライトノベルで学ぶ 行政書士試験過去問

行政書士試験の最重要過去問を日本一わかりやすく解説

民法1-20 物権変動 2005年問26 / 行政書士試験に合格できなければ公務員試験は無理!

次の記述のうち、即時取得により所有権を取得できるものはいくつあるか。

1、Aがその所有する建物をCに賃貸していたところ、Cがその建物を自己の所有する建物としてBに売却した場合。
2、Aの所有する山林に生育する立木について、Bがその山林及び立木を自己の所有するものであると誤信して、その立木を伐採した場合。
3、成年被後見人Aはその所有するパソコンをBに売却したが、Bは、Aが成年後見人であることについて、善意、無過失だった場合。
4、Aの所有する自転車をCが借りた後に、駅前駐輪場に停めていたところ、Bがその自転車を自己の自転車と誤信して、その自転車の使用を継続した場合。
5、Aの所有する宝石をCが盗み出して、CがこれをBに売却したが、Bは、その宝石が盗品である事実について、善意、無過失であった場合。



胡桃「これも即時取得に関する基本的な問題だわ」
建太郎「う……、そうかな?」
胡桃「個数問題でも、条文と判例の知識を押さえていれば、楽々解けるはずよ」





胡桃「まず、即時取得の条文を確認しておくわよ」

即時取得
第百九十二条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

建太郎「即時取得は、動産についてのみ生じる。それから、取引行為が必要だということだな」
胡桃「そうよ。この条文を確認したうえで、1の選択肢からチェックするわよ」
建太郎「1は建物の売買をしたということだよな。第百九十二条の即時取得は、動産についてのみ生じるものだから、Bが建物を即時取得することはないな」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「うーん。AとBの間で取引が行われたわけではないよな。Bが勝手に伐採しただけだから、即時取得しない」
胡桃「そうね。即時取得するためには、その前提として、取引行為か必要だということね。3はどうかしら?」
建太郎「Aは、制限行為能力者だな。制限行為能力者との取引について、即時取得が適用されることはない。制限行為能力者の制度が骨抜きになってしまうからだ」

成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「これも、ABの間に取引関係があったわけではないから、即時取得は成立しえないな」
胡桃「2のケースと全く同じだわね。5はどうかしら?」
建太郎「まさに即時取得が成立し得る典型的な例だよな。Bは、Cとの取引によって取得しているし、その宝石が盗品である事実について、善意、無過失とされているから、第百九十二条がそのまま当てはまる」
胡桃「そうね。と言うわけで、答えはどれかしら?」
建太郎「5だけが即時取得し得るということで、答えは一つだな」










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