ライトノベルで学ぶ 行政書士試験過去問

行政書士試験の最重要過去問を日本一わかりやすく解説

民法1-26 所有権 2004年問26 / 行政書士試験に合格できなければ公務員試験は無理!

甲地について、
A、複数の者が民法上の共有として、共同所有している場合、
B、共有の性質を有する入会権として、共同所有している場合、
に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1、甲地の共同所有者は、Aの場合は、自己の持ち分を自由に譲渡することができるが、Bの場合は、持ち分の譲渡については、共同所有者の属する入会集団の許可を得なければならない。
2、Aの場合は、甲地の管理について、各共有者の持ち分の価格に従い、過半数で決するが、Bの場合は、甲地の管理について、共同所有者の4分の3以上の多数により、決する。
3、甲地の共同所有者は、Aの場合もBの場合も、甲地の分割について、他の共同所有者の同意があるときにのみこれを行うことができる。
4、Aの場合もBの場合も、共同所有者全員の合意によって、甲地を第三者に売却することができる。
5、甲地の所有権は、Aの場合もBの場合も、各共同所有者にその持ち分に応じて帰属する。



胡桃「これは、何を問う問題かわかるわね」
建太郎「共有の性質について問う問題だな」




胡桃「まず、基本の条文を確認しておくわよ。AとBが条文の問題かわかるわね?」
建太郎「うん。次の条文だな」

(共有物の使用)
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

(共有の性質を有する入会権)
第二百六十三条 共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する。

胡桃「それを踏まえたうえで、1から見ていくわよ」
建太郎「民法上の共有の場合は、自己の持ち分を自由に譲渡できるな。所有権の処分だから」

(所有権の内容)
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

胡桃「そうね。入会権の場合はどうかしら?」
建太郎「共有といっても、自己の持ち分といえる権利はないから、譲渡することはできないな」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「民法上の共有物の管理については、その通りだな」

(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

胡桃「それに対して、入会権の管理はどうかしら?」
建太郎「うーん。それは、入会権によって異なるんじゃないの?」
胡桃「そうなるわね。とりあえず、民法的には、入会権の場合は、管理処分権が全員に帰属しているため、全員の合意が必要だと解されているわ」
建太郎「4分の3以上の多数なんていう中途半端な数字ではなく、全員が合意しなければならないということだな」
胡桃「そうよ。3はどうかしら?」
建太郎「民法上の共有の場合は、分割請求に応じてもらえなければ、裁判に訴えることができるんだよな」

(共有物の分割請求)
第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。
第二百五十七条 前条の規定は、第二百二十九条に規定する共有物については、適用しない。

(裁判による共有物の分割)
第二百五十八条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。

胡桃「入会権の場合はどうかしら?」
建太郎「土地を分割することは入会権消滅を意味するから、全員の合意が必要だよな」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「共有物の売却は、変更に当たるから、全員の合意が必要だな」

(共有物の変更)
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

胡桃「入会権の場合はどうかしら?」
建太郎「もちろん、全員の同意が必要だ」
胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「民法上の共有の場合はもちろん、所有権は各共同所有者にその持ち分に応じて帰属する。けど、入会権の場合は、持ち分という概念はない。共有者全員の総有と解釈されているよな」
胡桃「というわけで答えはどれかしら?」
建太郎「4だな」









●【宅建士、行政書士試験対応版】ライトノベルで学ぶ 民法条文 逐条解説

難化する一方の行政書士試験民法を攻略するためのポイントは、試験科目の条文と判例を徹底的に読み込むことです。
条文と判例の知識の量によって行政書士試験の合否が左右されると言っても過言ではありません。
とは言え、判例六法等で、民法の第一条から読み込んでいくのは、きついものがあります。
このテキストは、会話文形式で、民法の第一条から第千四十四条まで学ぶことができます。条文を一通り読むと同時に、重要な判例知識を学ぶことができます。



→ 【宅建士、行政書士試験対応版】ライトノベルで学ぶ 民法条文 逐条解説 民法総則編

→ 【宅建士、行政書士試験対応版】ライトノベルで学ぶ 民法条文 逐条解説 物権法編・担保物権法編

→ 【宅建士、行政書士試験対応版】ライトノベルで学ぶ 民法条文 逐条解説 債権総論編 現行法版

→ 【宅建士、行政書士試験対応版】ライトノベルで学ぶ 民法条文 逐条解説 債権各論編 現行法版

→ 【宅建士、行政書士、司法書士試験対応版】ライトノベルで学ぶ 民法条文 逐条解説 親族法編

→ 【宅建士、行政書士、司法書士試験対応版】ライトノベルで学ぶ 民法条文 逐条解説 相続法編