ライトノベルで学ぶ 行政書士試験過去問

行政書士試験の最重要過去問を日本一わかりやすく解説

民法1-27 用益物権 2006年問30 / 行政書士試験に合格できなければ公務員試験は無理!

Aは、B所有の甲土地について、地上権の設定を受けて、同土地上に乙建物を建築した。Aが同建物を建築するについては、そのための資金として、C銀行から融資を受けた。この場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1、AB間では、賃借権ではなく地上権が設定されたので、その存続期間については、借地借家法の適用はなく、民法の規定が適用される。
2、AがC銀行のために抵当権を設定するには、乙建物のみを抵当権の目的とすることができ、Aの甲土地上の地上権を抵当権の目的とすることはできない。
3、Bが死亡し、Bの相続人Dが、甲土地を相続した場合に、Aは、甲土地についての地上権設定登記、または乙建物の保存登記を経由していない限り、Dに対して、Aの甲土地についての地上権を対抗することができない。
4、AのC銀行に対する債務の担保のため、Aが乙建物について、C銀行のために抵当権を設定するとともに、Bが物上保証人として、甲土地について、C銀行のために、抵当権を設定していた場合において、C銀行が抵当権を実行するには、まず、乙建物から行う必要はない。
5、Aが死亡し、Aの相続人E及びFが遺産分割により、乙建物を共有することになった場合において、E及びFは、相互に五年間は、乙建物の分割を請求することができない。



胡桃「これは、借地借家法の勉強をしていれば簡単にわかる問題だわね」
建太郎「うん。宅建受験生に有利だな」





胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「基本だね」

借地借家法
(趣旨)
第一条 この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。

建太郎「建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権と定められている通りだ」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「地上権にも、抵当権を設定することができるよな」

(抵当権の内容)
第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「借地権の対抗要件の問題だな。次の条文」

借地借家法
(借地権の対抗力等)抜粋
第十条 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

建太郎「ただ、Bの相続人Dは、Bの地位を承継した当事者の立場にあるわけだから、AがDに対して、権利主張するのに、登記は必要ないよな」
胡桃「そうね。177条の第三者には当たらないということね。常識だわ」

(不動産に関する物権の変動の対抗要件
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「その通りでいいんじゃない?」
胡桃「そうね。債権者が同一の債権の担保として数個の不動産に抵当権を有する場合は、任意の順序で実行することができるとされているわ。たとえ、物上保証に供されている不動産でもね」
建太郎「うん。保証債務と物上保証とでは違うということだな」
胡桃「そうよ。保証人には、催告の抗弁、検索の抗弁があるけど、物上保証には、そのような制度はないということね」

(催告の抗弁)
第四百五十二条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

(検索の抗弁)
第四百五十三条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

建太郎「OK」
胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「共有物が分割できないのは、特約をした場合だけだよな」
胡桃「そうね。条文そのままの出題だわ」

(共有物の分割請求)
第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。

胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「4だな」












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