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民法1-33 担保物権 2009年問29 / 宅建、行政書士、司法書士に独学で一発合格したいあなたへ!

Aに対して、債務を負うBは、Aのために、自己が所有する土地に抵当権を設定した。この場合における抵当権消滅に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし、正しいものはいくつあるか。

1、Aの抵当権が根抵当権である場合、Bが破産開始手続きの決定を受けたときは、被担保債権は、確定して満足し、根抵当権は確定的に消滅する。
2、Aの抵当権が根抵当権である場合、元本が確定した後に、Bから土地の所有権を取得したCが、極度額に相当する金額をAに支払い、根抵当権の消滅を請求した場合は、確定した被担保債権の額が、極度額を超えていたとしても、Aの根抵当権は確定的に消滅する。
3、BがAに対し、残存元本に加えて、最後の二年分の利息及び遅延損害金を支払った場合には、Aの抵当権は確定的に消滅する。
4、第三者Cが、土地の所有権を時効によって取得した場合には、Aの抵当権は、確定的に消滅する。
5、第三者Cが、BのAに対する債務の全額を弁済し、その弁済と同時に、Aの承諾を得ていた場合は、CはAに代位することができるが、抵当権は確定的に消滅する。



胡桃「これも抵当権に関する基本的な問題だわ」
建太郎「おう……」





胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「うーん……。ちょっとなにかいてあるのか理解できない」
胡桃「条文そのままの出題よ」

根抵当権の元本の確定事由)
第三百九十八条の二十 次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
一 根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行又は第三百七十二条において準用する第三百四条の規定による差押えを申し立てたとき。ただし、競売手続若しくは担保不動産収益執行手続の開始又は差押えがあったときに限る。
二 根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき。
三 根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間を経過したとき。
四 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2 前項第三号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。

建太郎「四 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。に当たるから、根抵当権の元本が確定すると」
胡桃「そうよ。元本が確定するだけで、根抵当権は確定的に消滅する。わけはないということを確認する問題なのよ」
建太郎「なんだ。それだけの話だったのか」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「正しいんじゃない。被担保債権の額が、極度額を超えていたとしても、債権者としては、ほかに担保を有していればいいだけのことだよな。とりあえず、不動産の第三取得者としては、極度額を支払えばいいというのは常識でもわかるよな」
胡桃「そうね。条文に明記されているから確認しておくわよ」

根抵当権の消滅請求)
第三百九十八条の二十二 元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権若しくは第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。この場合において、その払渡し又は供託は、弁済の効力を有する。
2 第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権は、一個の不動産について前項の消滅請求があったときは、消滅する。
3 第三百八十条及び第三百八十一条の規定は、第一項の消滅請求について準用する。

建太郎「条文そのままの出題だったのか」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「この条文のひっかけ問題だな」

(抵当権の被担保債権の範囲)
第三百七十五条 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
2 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の二年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を超えることができない。

建太郎「この規定は、抵当権者が抵当不動産に対して行使しうる債権の範囲を定めたものに過ぎなくて、この分だけ、債務を弁済すれば、抵当権を消滅させられるという意味ではないと。抵当権を消滅させるためには、被担保債権の全額を支払わなければならないことに変わりはない」
胡桃「そうね。4はどうかしら?」
建太郎「Cが土地を原始取得したということだよな。当然、抵当権は消滅して、真っ新な権利を取得することになる」
胡桃「条文を確認しておくわよ」

抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅)
第三百九十七条 債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する。

胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「弁済による代位の問題だな」

(弁済による代位の効果)
第五百一条 前二条の規定により債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。この場合においては、次の各号の定めるところに従わなければならない。
一 保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権者に代位することができない。
二 第三取得者は、保証人に対して債権者に代位しない。
三 第三取得者の一人は、各不動産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。
四 物上保証人の一人は、各財産の価格に応じて、他の物上保証人に対して債権者に代位する。
五 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。
六 前号の場合において、その財産が不動産であるときは、第一号の規定を準用する。

建太郎「条文にある通り、『債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。』とされている。当然、抵当権も代位行使することができるわけで、抵当権が消滅するわけではない」
胡桃「というわけで、答えはどれかしら?」
建太郎「2と4の二つが正しいということになるな」









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