ライトノベルで学ぶ 行政書士試験過去問

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民法1-34 担保物権 2010年問30 / 宅建、行政書士、司法書士に独学で一発合格したいあなたへ!

A銀行はBに3000万円を融資し、その貸金債権を担保するために、B所有の山林(樹木について立木法による登記等の対抗要件を具備していない)に抵当権の設定を受け、その旨の登記を備えたところ、Bが通常の利用の範囲を超えて、山林を伐採してしまった。
この場合について次の見解に一致するものはいくつあるか。

見解
分離物が第三者に売却されても、抵当不動産と場所的一体性を保っている限り、抵当権の公示の衣に包まれているので、抵当権を第三者に対抗できるが、搬出されてしまうと、抵当権の効力自体は分離物に及ぶものの第三者に対する対抗力は失われる。

1、抵当山林上に伐採木材がある段階で、木材がBから第三者に売却された場合は、A銀行は、第三者への木材の引き渡しよりも先に抵当権の登記を備えているので、第三者の搬出行為の禁止を求めることができる。
2、抵当山林上に伐採木材がある段階で、木材がBから第三者に売却された場合でも、占有改定による引き渡しがなされた場合は、第三者のために即時取得は成立しない。
3、Bと取引関係にない第三者によって、伐採木材が抵当山林から不当に別の場所に搬出された場合に、A銀行は、第三者に対して、元の場所に戻すよう請求できる。
4、Bによって、伐採木材が、抵当山林から別の場所に搬出された後で、第三者がBから木材を買い引き渡しを受けた場合において、当該木材が、抵当山林から搬出されたものであることを第三者が知っているときは、当該第三者は、木材の取得をA銀行に主張できない。
5、第三者がA銀行に対する個人的な嫌がらせ目的のために、Bをして抵当山林から伐採木材を別の場所に搬出させた後で、Bから木材を買い、引き渡しを受けた場合において、A銀行は適切な維持管理をBに期待できないなどの特別の事情がない限り、第三者に対して、自己に引き渡すよう請求することはできない。




胡桃「これは変わった出題だけども、基本的な知識があれば解ける問題だわ」
建太郎「うん。要するに、判例と同じ見解を選べばいいんだよな」





胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「抵当山林上に伐採木材があるなら、抵当不動産と場所的一体性を保っているから、抵当権の効力が及ぶよな。A銀行が第三者の搬出行為の禁止を求めることができる。と」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「占有改定による即時取得が認められるかどうかの問題だよな」

即時取得
第百九十二条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

胡桃「どう考えるべきか、わかるわね」
建太郎「判例によれば、占有改定による引き渡しでは、即時取得は成立しないとしている」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「Bと取引関係にない第三者が持ち出したということは、泥棒したということだよな」
胡桃「そうなるわね」
建太郎「ということは、即時取得は成立していないから、A銀行は、第三者に対して、元の場所に戻すよう請求できるな」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「177条の第三者が善意でなければならないのかという問題だな」

(不動産に関する物権の変動の対抗要件
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

胡桃「そうね。どう考えるべきかわかるわね」
建太郎「善意悪意は問わないというのが判例の立場だったな。だから、第三者がA銀行の抵当権の存在を知っていたとしても、A銀行はもはや、抵当権の効力を主張することはできない」
胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「背信的悪意者は、177条の第三者に当たらないから、A銀行は第三者に対して抵当権の効力を主張できるよな」
胡桃「問題は、目的物を、直接、A銀行に引き渡すように請求できるのか? だけど?」
建太郎「抵当権は、抵当権者が占有する担保物権じゃないから、自己に引き渡しを求めることはできない?」
胡桃「原則としてそうなるわ。これは判例の事例だから、判例にも、目を通しておいてね」

抵当不動産の占有者に対する抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり,抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には,抵当権者は,当該占有者に対し,直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができる。

胡桃「というわけで答えはいくつあるかしら?」
建太郎「1235の四つだな」









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