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民法1-35 担保物権 2012年問30 / 宅建、行政書士、司法書士に独学で一発合格したいあなたへ!

譲渡担保に関する次の記述のうち、判例の規定に照らし誤っているものはどれか。

1、不動産の譲渡担保において、債権者はその実行に際して、清算義務を負うが、清算金が支払われる前に、目的不動産が債権者から第三者に譲渡された場合、原則として、債務者はもはや、残債務を弁済して目的物を受け戻すことはできず、このことは、譲受人が、背信的悪意者に当たる者でも、異ならない。
2、集合動産の譲渡担保において、債権者が譲渡担保の設定に際して、占有改定の方法により、現に存する動産の占有を取得した場合、その対抗要件具備の効力は、その構成部分が変動したとしても、集合物としての同一性が損なわれないかぎり、新たに構成部分となった動産についても及ぶ。
3、集合動産の譲渡担保において、設定者がその目的物である動産につき、通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合は、当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められない限り、当該処分の相手方は、目的物の所有権を承継取得することはできない。
4、集合債権の譲渡担保において、それが有効と認められるためには、契約締結時において、目的債権が特定されていなければならず、かつ、将来における目的債権の発生が確実でなければならない。
5、集合債権の譲渡担保において、当該譲渡について、譲渡人から債務者に対して、確定日付ある証書によって通知が行われた場合、その対抗要件具備の効力は、将来において生じる債権についても及ぶ。



胡桃「譲渡担保についての判例の知識を問う問題だわ」
建太郎「むむっ……。譲渡担保は条文がないから、判例を覚えるしないんだよな」





胡桃「まず、1はどうかしら」
建太郎「目的不動産が債権者から第三者に譲渡された場合、原則として、債務者はもはや、残債務を弁済して目的物を受け戻すことはできないというのはその通りでいいよな」
胡桃「問題は、譲受人が、背信的悪意者に当たる場合だけど?」
建太郎「うーん。どうなんだろう」
胡桃「判例があるから覚えてね」

譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保を設定した債務者は、譲受人がいわゆる背信的悪意者に当たるときであると否とにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない。

建太郎「なるほど、背信的悪意者であっても、結論に変わりはないわけだな」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「その通りだよな。譲渡担保は、占有改定によって、対抗力を取得できる。まさに、設問のような事例で活用する担保だよな」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「その通りと解しないと、譲渡担保権者が害されないか?」
胡桃「これも判例そのものだから、覚えてね。かなり新しい判例よ」

構成部分の変動する集合動産を目的とする対抗要件を備えた譲渡担保の設定者が,その目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合,当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められない限り,当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできない。

建太郎「やっぱりそうだよな」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「うーん。勘からして、これは間違いかなって思うな」
胡桃「勘じゃなくて、判例の知識に基づいて答えてよね。とりあえず、判例を確認しておくわよ」

将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時において目的債権の発生の可能性が低かったことは、右契約の効力を当然には左右しない。

建太郎「まあ、当然だろうな」
胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「債権譲渡の対抗要件の問題だな」

(指名債権の譲渡の対抗要件
第四百六十七条 指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

建太郎「債権譲渡の対抗要件は、この条文の方法によるほかないよな。たとえ、集合債権の譲渡担保だとしても」
胡桃「そうね。判例を確認しておくわよ」

甲が乙に対する金銭債務の担保として,甲の丙に対する既に生じ,又は将来生ずべき債権を一括して乙に譲渡することとし,乙が丙に対して担保権実行として取立ての通知をするまでは甲に譲渡債権の取立てを許諾し,甲が取り立てた金銭について乙への引渡しを要しないとの内容のいわゆる集合債権を対象とした譲渡担保契約において,同契約に係る債権の譲渡を第三者に対抗するには,指名債権譲渡の対抗要件の方法によることができる。

胡桃「というわけで答えはどれかしら?」
建太郎「4だな」










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