ライトノベルで学ぶ 行政書士試験過去問

行政書士試験の最重要過去問を日本一わかりやすく解説

民法1-37 債権総論 2008年問32 / 宅建、行政書士、司法書士に独学で一発合格したいあなたへ!

AがBに対して、自己所有の家屋を売る契約をした場合に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1、Aが当該家屋をBに引き渡すまでの間は、善管注意義務をもって当該家屋を保存、管理しなければならないので、Aの履行遅滞中に不可抗力で当該家屋が滅失しても、Aが善管注意義務を尽くしていれば、責任を負わない。
2、Bが登記を備える前に、AがCに対して、当該家屋を二重に売ってしまった場合、CがBよりも先に仮登記を備えた時でも、AのBに対する債務は未だ、履行不能とならない。
3、Bが登記を備える前に、AがBへの譲渡を知っているDに対して、当該家屋を二重に売ってしまい、登記を移転してしまった場合、Bはそれだけでは、Dに対して債権侵害を理由とする不法行為責任を追及できない。
4、Bが登記を備える前に、AがBへの譲渡を知らないEに対して、当該家屋を二重に売ってしまい、登記を移転してしまった場合、BがAに対して、履行不能による損害賠償を請求するときは、価格が騰貴しつつあるという特別の事情があれば、転売、処分の可能性がなくても、騰貴前に処分したことが予想されない限り、騰貴した現在の価格を特別損害とすることができる。
5、Bが登記を備える前に、AがBを害することを知っているFと通謀して、当該家屋をFに対して、代物弁済として登記を移転した場合、Aがその結果、無資力となれば、Bは、AF間の代物弁済を、詐害行為を理由に取り消すことができる。



胡桃「これも基本的な判例の知識を問う問題だわ」
建太郎「うん。簡単だな」





胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「履行遅滞に陥っているときに、履行不能となった場合は、債務者の責めに帰すべき事由に基づく不能ということになるから、その損害について、賠償責任を負うとされているよな」
胡桃「そうね。2はどうかしら?」
建太郎「判例そのままだな。仮登記がなされただけならば、履行不能になったとは言えないと」
胡桃「そうね。判例も次のように判示しているわ」

甲が乙に対して不動産を売り渡した場合において、所有権移転登記未了の間に、その不動産につき、丙のために売買予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記がなされたというだけでは、いまだ甲の乙に対する売買契約上の義務が履行不能になつたということはできない。

胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「設問の場合、Dは、単に悪意だったにすぎないんだよな。だとすれば、早い者勝ちで、Dが権利を取得するわけで、Bに文句を言われる筋合いはないと」
胡桃「そうね。判例も自由競争原理の範囲内だとして、次のように判示しているわ」

乙が甲から不動産を買い受けて登録を経ないうち、丙が甲から右不動産を買い受けて登記をなし、これをさらに丁に売り渡して登記を経たため、乙がその所有権取得を丁に対抗することができなくなつた場合において、丙がその買受当時甲乙間の売買の事実を知つていたというだけでは、丙は乙に対し不法行為責任を負うものではない。

胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「その通りでいいよな」
胡桃「判例そのままの事例だわ。確認しておくわよ」

売買契約の目的物である不動産の価格が売主の所有権移転義務の履行不能後も騰貴を続けているという特別の事情があり、かつ、履行不能の際に売主がそのような特別の事情の存在することを知つていたかまたはこれを知りえた場合には、買主が右不動産を転売して利益を得るためではなくこれを自己の使用に供するために買い受けたものであるときでも、買主は、売主に対し、右不動産の騰貴した現在の価格を基準として算定した損害額の賠償を請求することができる。

胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「詐害行為取消権を行使できる典型的な事例だよな」
胡桃「そうね。条文を確認しておくわよ」

(詐害行為取消権)
第四百二十四条 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
2 前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。

胡桃「そして、設問のような事例で、判例は次のように判示しているわ」

特定物引渡請求権を有する者も、その目的物を債務者が処分することにより無資力となつた場合には、右処分行為を詐害行為として取り消すことができるものと解すべきである。

胡桃「というわけで答えはどれかしら?」
建太郎「1だな」










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