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民法1-43 債権総論 2010年問31 / 宅建、行政書士、司法書士に独学で一発合格したいあなたへ!

保証に関する次の相談を受けたが、可能ですと答えられるのは、次のうちどれか。

1、私は、ABとの間に締結した土地の売買契約に関し、売り主であるAの土地引き渡し債務について保証人になりましたが、この度BがAの債務不履行を理由として、売買契約を解除しました。Bは、私に対して、Aが受領した代金について、保証債務を履行せよと主張しています。これを拒むことは可能か。
2、私は、AがBから金銭を借り受けるに際は、Aに頼まれて物上保証人になり、Bのために、私の所有する不動産に抵当権の設定をしました。この度、Aの債務の履行期が到来しましたが、Aが債務を履行しないため、抵当権が実行されるのは確実です。Aの資力があるうちに、Aに対して求償権を行使しておくことは可能か。
3、私が経営する甲会社はAがBと新たに取引関係を締結するにあたり、取引開始から三か月間の取引に関して、AがBに対して一切の債務を保証することとし、契約書を作成しましたが、特に極度額は決めていませんでした。この度、AB間の取引によって、私が想定していた以上の債務を負うことにより、Bが甲に対して保証債務の履行求めてきました。甲が保証債務の履行を拒むことはできるか。
4、私は、AがB所有のアパートを貸借するにあたり、Aの保証人となりました。この度、AB間の契約がAの賃料不払いを理由に解除されたところ、BはAが滞納した賃料だけでなく、Aが立ち退くまでに生じた損害の賠償についても、保証債務の履行をせよと主張しています。私は保証債務の履行を拒むことはできるでしょうか。
5、私は、AがBから400万円の貸し付けを受けるにあたり、Aから依頼されてCとともに保証人になりましたが、その際、私及びCは、Aの債務の全額について責任を負うものとする特約を結びました。このたび、私はBから保証債務の履行を求められ、400万円全額を弁済しましたが、私は、Cに対して、200万円の求償をすることは可能でしょうか。



建太郎「最近は、こういう形式の問題が増えているんだね」
胡桃「そうね。難しそうに見えるかもしれないけど、結局は判例と条文の知識を問うだけの問題だわ」





胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「問題文からして、普通保証だろうから、催告の抗弁と検索の抗弁を主張できるよな」

(催告の抗弁)
第四百五十二条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

(検索の抗弁)
第四百五十三条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

建太郎「だから拒むことができる」
胡桃「そういうことを聞いているわけじゃないのよ。抗弁を主張しても、最終的には、履行を求められてしまうでしょ。その場合に拒めるのかという問題なのよ」
建太郎「あっ。そういう意味なのか。ええっと……、それじゃあ拒めないよな」
胡桃「この問題は判例の知識を問う問題なのよ。次の判例ね」

特定物の売買契約における売主のための保証人は、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても、保証の責に任ずるものと解するのが相当である。

建太郎「なるほど、契約が解除された場合における原状回復義務についても、保証債務を負っているんだったよな」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「物上保証人が、事前に求償権を行使しておくことが可能かという問題だな」

留置権等の規定の準用)
第三百七十二条 第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。

(物上保証人の求償権)
第三百五十一条 他人の債務を担保するため質権を設定した者は、その債務を弁済し、又は質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。

胡桃「そうよ。抵当権が実行された後で、求償できるのは当然だけど、実行前に求償できるかどうかということね。判例があったわね」
建太郎「うん。確か、できないんだったよな」

物上保証人は、被担保債権の弁済期が到来しても、あらかじめ求償権を行使することはできない。

建太郎「常識でもわかるよな。これを認めていたら、債権者が害されてしまう」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「これは、新しい条文の問題だよな。貸金等根保証契約というんだよな」
胡桃「そうよ。ただ、貸金等根保証契約とするにはいくつかの要件があったわね」

(貸金等根保証契約の保証人の責任等)
第四百六十五条の二 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であってその債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれるもの(保証人が法人であるものを除く。以下「貸金等根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2 貸金等根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
3 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、貸金等根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。

建太郎「2項にある通り、貸金等根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。設問では、極度額を定めなかったとあるから、普通保証ということになる」
胡桃「そうね。あともう一つ確認しておきたいことが、かっこ書きにちらっと書かれていることね。(保証人が法人であるものを除く。以下「貸金等根保証契約」という。)とあるでしょ」
建太郎「うん……。保証人が法人の場合は、民法上の貸金等根保証契約を締結することはできないと」
胡桃「設問の場合は、甲会社という法人が保証人になっているわけだから、民法上の貸金等根保証契約を締結することはできないわけね」
建太郎「なるほどな。ということは普通保証になるわけだから、保証債務の履行を拒むことはできないと」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「保証債務の範囲の問題だな。まず条文は、次の通り」

(保証債務の範囲)
第四百四十七条 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
2 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。

建太郎「賃借人の保証債務は、立ち退きまで生じた損害についても賠償責任を問われると?」
胡桃「その通りよ。判例そのままの出題だわ。5はどうかしら?」
建太郎「共同保証の場合は負担部分が考えられるから、他の保証人に対して求償を求めることができるよな」

(共同保証人間の求償権)
第四百六十五条 第四百四十二条から第四百四十四条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。
2 第四百六十二条の規定は、前項に規定する場合を除き、互いに連帯しない保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。

(連帯債務者間の求償権)
第四百四十二条 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。
2 前項の規定による求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。

胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「5だな」










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