ライトノベルで学ぶ 行政書士試験過去問

行政書士試験の最重要過去問を日本一わかりやすく解説

民法1-44 債権総論 2008年問34 / 宅建、行政書士、司法書士に独学で一発合格したいあなたへ!

相殺に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし妥当なものはどれか。

1、AがBに対して、平成20年5月5日を弁済期とする300万円の売掛代金債権を有し、BがAに対して、平成20年7月1日を弁済期とする400万円の貸金債権を有している。この場合に、平成20年5月10日にAがBに対してする相殺。
2、AがBに対して平成18年5月5日を弁済期とする300万円の貸金債権を有していたところ、平成18年7月1日にAがBに対して暴力行為を働き、平成20年7月5日にAに対してこの暴力行為でBが被った損害300万円の賠償を命じる判決がなされた。この場合に、平成20年7月5日にAがBに対してする相殺。
3、A銀行がBに対して平成19年7月30日に期間1年の約定で貸し付けた400万円の貸金債権を有し、他方、BがA銀行に対して、平成20年7月25日を満期とする400万円の定期預金債権を有していたところ、Bの債権者CがBのA銀行に対する当該定期預金債権を差し押さえた。この場合に、平成20年8月1日にA銀行がBに対してする相殺。



胡桃「これは、相殺適状に関する基本的な問題だわね」
建太郎「うん。具体的事例の割には簡単だな」





胡桃「まず、1は何を問う問題かわかるわね?」
建太郎「受働債権が弁済期になければならないのかという問題だな」
胡桃「どう考えるべきかしら?」
建太郎「自働債権は、自分の債権で、相手方に対して、弁済を強要することになるわけだから、当然弁済期が到来していなければならない。それに対して、受働債権は、自分の債務だから、任意に弁済するならば、弁済期が到来していなくてもよい」
胡桃「そうね。つまり、債務者が期限の利益を放棄する分には構わないということね」

(期限の利益及びその放棄)
第百三十六条 期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
2 期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。

建太郎「うん。だから1の相殺はできるな」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止に抵触している事例だな」

不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第五百九条 債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。

建太郎「当然、相殺は認められない」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「差し押さえされた債権を相殺に供することができるかどうかの問題だな」

(支払の差止めを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第五百十一条 支払の差止めを受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない。

胡桃「どう考えたらいいかしら?」
建太郎「差し押さえられる前に、自働債権を取得していれば、それを自働債権として相殺することができるな」
胡桃「そうね。ちなみに次の判例もチェックしておいてね」

債権が差し押えられた場合において、第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたときは、その債権が差押後に取得されたものでないかぎり、右債権および被差押債権の弁済期の前後を問わず、両者が相殺適状に達しさえすれば、第三債務者は、差押後においても、右反対債権を自働債権として、被差押債権と相殺することができる。

建太郎「うん。OK」
胡桃「というわけで答えはどれかしら?」
建太郎「妥当なのは、1と3だな」










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