ライトノベルで学ぶ 行政書士試験過去問

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民法1-59 債権各論 2010年問33 / 宅建、行政書士、司法書士に独学で一発合格したいあなたへ!

AのBに対する不当利得返還請求等に関する次の記述のうち、判例に照らし誤っているものはどれか。

1、Aは、Bに対する未払い賃料はないことを知りつつ、Bから賃料不払いを理由とした賃貸建物明渡請求訴訟を提起された場合における防御方法として支払いをなすものであることを特に表示したうえで、Bに弁済を行った。この場合に、AはBに対して不当利得として給付した弁済額の返還を請求することができる。
2、Aは、賭博に負けたことによる債務の弁済として、Bに高価な骨とう品を引き渡したが、その後、AB間でBがこの骨とう品をAに返還する旨の契約をした。この場合に、AはBに対し、この骨とう品の返還請求ができる。
3、Cは、BからB所有の家屋を賃借した際に、CがBに対して権利金を支払わない代わりに、Cが当該家屋の修繕義務を負うこととする旨を合意したため、後日、当該家屋の修繕工事が必要となった際、CはAに対して、これを依頼し、Aが同工事を完了したが、CはAに修繕代金を支払う前に無資力となってしまった。この場合に、AはBに対して、不当利得として、修繕代金相当額の返還を請求することはできない。
4、Aは、Bとの愛人関係を維持するために、自己の有する未登記建物をBに贈与し、これを引き渡した。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得としてこの建物の返還を請求することができる。
5、BはCから強迫を受け、同人の言うままに、Aと金銭消費貸借契約を締結し、Aに指示してBとは何らの法律上または事実上の関係のないDに貸付金を交付させたところ、Bが強迫を理由にAとの当該金銭消費貸借契約を取り消した。この場合に、AはBに対し、不当利得として貸付金相当額の返還を請求できる。



胡桃「これも基本的な判例の知識を問う問題だわ」
建太郎「おう。簡単だな」





胡桃「まず、1の意味は分かるかしら?」
建太郎「分かりにくい文章だけど、つまりは、弁済義務がないのに弁済したと理解していいのか?」
胡桃「そうよ。その場合、返還請求できるかという問題よ」
建太郎「原則として返還請求できないよな。不当利得の条文そのままだ」

(債務の不存在を知ってした弁済)
第七百五条 債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。

胡桃「そうね。じゃあ、1のような場合はどうかしら?」
建太郎「判例があったんだよな」

居住家屋の賃料の支払義務のない者が、該家屋の所有者から賃料支払の催告を受けたため、これを支払うべき筋合はないが賃料不払等とこじつけて家屋明渡訴訟を提起された場合の防禦方法として支払う旨とくに留保の表示をしたうえ、請求額を支払つた等判示事実関係のように、債務の不存在を知つて弁済したことも無理からぬような客観的事情がある場合には、民法第七〇五条の適用はないものと解すべきである。(最判昭和40年12月21日)

建太郎「つまり、第七百五条は適用されないから、返還請求ができると」
胡桃「そうね。次、2はどうかしら?」
建太郎「不法な原因のために給付した場合は、原則として返還請求ができないよな」

(不法原因給付)
第七百八条 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。

建太郎「ただ、当事者で任意に返還することはできるよな」
胡桃「当然の話だわね。判例を持ち出すまでもないわ。3はどうかしら?」
建太郎「これは判例そのままの事例だよな。返還請求はできないと」

甲が建物賃借人乙との間の請負契約に基づき建物の修繕工事をしたところ、その後乙が無資力になったため、甲の乙に対する請負代金債権の全部又は一部が無価値である場合において、右建物の所有者丙が法律上の原因なくして右修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、丙と乙との間の賃貸借契約を全体としてみて、丙が対価関係なしに右利益を受けたときに限られる。(最判平成7年9月19日)

胡桃「そうね。ちょっと変わった事例だわ。次、4はどうかしら?」
建太郎「未登記建物だから、引き渡しだけで、給付したことになるよな。当然、不法原因給付だから、返還請求はできないと」
胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「ちょっと変わった判例の事例だよな」

甲が丁の強迫により消費貸借契約の借主となり貸主乙に指示して貸付金を丙に給付させた後に右強迫を理由に契約を取り消したが、甲と丙との間には事前に何らの法律上又は事実上の関係はなく、甲が丁の言うままに乙に対して貸付金を丙に給付するように指示したなど判示の事実関係の下においては、乙から甲に対する不当利得返還請求について、甲が右給付によりその価額に相当する利益を受けたとみることはできない。(最判平成10年5月26日)

建太郎「設問の事例では、AはBに対し、不当利得として貸付金相当額の返還を請求できないことになる」
胡桃「そうね。というわけで答えは?」
建太郎「4、5の二つが間違いだな」










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