ライトノベルで学ぶ 行政書士試験過去問

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民法1-62 債権各論 2009年問34 / 宅建、行政書士、司法書士に独学で一発合格したいあなたへ!

不法行為の成立に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし妥当なものはどれか。

1、鍵のかかっていた他人の自転車を盗んだ者が、その自転車を運転している最中に不注意により第三者にけがを負わせた場合、自転車の所有者は、第三者に対して不法行為責任を負う。
2、責任能力を有する未成年者が不法行為をなした場合、親権者の未成年者に対して及ぼしうる影響力が限定的で、かつ親権者において、未成年者が不法行為をなすことを予測しうる事情がないときには、親権者は、被害者に対して不法行為責任を負わない。
3、飲食店の店員が、出前に自転車で行く途中で、他の自転車の運転手と口論になり、同人に暴力行為を働いてしまった場合は、事業につき加えた損害には該当せず、店員の使用者は使用者責任を負わない。
4、請負人がその仕事について第三者に損害を与えてしまった場合は、注文者と請負人の間には使用関係が認められるので、注文者は原則として第三者に対して使用者責任を負う。
5、借家の塀が壊れて通行人がケガをした場合、塀の占有者である借家人は通行人に対して無過失責任を負うが塀を直接占有していない所有者が責任を負うことはない。

胡桃「これは簡単だわね」
建太郎「ああ。不法行為に関する基本的な判例の知識を問う問題だよな」




胡桃「1は、どうかしら?」
建太郎「常識で考えてもおかしいよな」
胡桃「そうね。所有者は、鍵をかけていたということだから、故意や過失が認められないということになるわね」

不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

建太郎「OK」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「うーん。正しいかな。未成年者に責任能力があるなら、親が監督責任を負うことは原則としてないよな」

(責任無能力者の監督義務者等の責任)
第七百十四条 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。

胡桃「そうね。判例も次のように判示しているわ」

少年院を仮退院した後に保護観察の遵守事項を守らないで遊び歩くなどしていた未成年者が強盗傷人事件を犯した場合において,当該未成年者が間もなく成人に達する年齢にあることなどから,親権者が当該未成年者に及ぼし得る影響力は限定的なものとなっており,当該親権者が上記遵守事項を確実に守らせることのできる適切な手段を有していたとはいい難いこと,当該親権者において当該未成年者が上記事件のような犯罪を犯すことを予測し得る事情があったとはいえないこと,当該未成年者の生活状態が直ちに少年院に再入院させるための手続等を執るべき状態にあったともいえないことなど判示の事情の下では,当該親権者に上記事件に結びつく監督義務違反があったとはいえない。(最判平成18年2月24日)

胡桃「次、3はどうかしら?」
建太郎「設問のような事例でも、使用者責任を問われることになるんだよな」

(使用者等の責任)
第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

胡桃「そうね。事業の執行については広く解釈しているということね。次のような判例があるわ」

すし屋の店員二名が、使用者所有の自動車を運転し、またはこれに同乗して、出前に行く途中、右自動車の方向指示器を点燈したまま直進したため、これと衝突しそうになつた他の自動車の運転者と口論になり、そのあげく同人に対し暴行を加えて負傷させた場合、これによつて同人の被つた損害は、被用者が事業の執行につき加えた損害にあたるというべきである。(最判昭和46年6月22日)

胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「請負は、使用者と被用者の関係はないよな。条文でも原則として責任を負わないとしている」

(注文者の責任)
第七百十六条 注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない。

胡桃「そうね。条文そのままの問題だわ。5はどうかしら?」
建太郎「全然違う文言になっているよな。次の条文の話だ」

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

建太郎「つまり、占有者は責任を免れることもあるけど、所有者は無過失責任を負うんだよな」
胡桃「条文を知っていれば簡単だわね。というわけで答えは?」
建太郎「2だな」










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