ライトノベルで学ぶ 行政書士試験過去問

行政書士試験の最重要過去問を日本一わかりやすく解説

民法1-52 債権各論 2012年問33 / 宅建、行政書士、司法書士に独学で一発合格したいあなたへ!

Aは、自己所有の甲建物をBに賃貸し、その際、BがAに対して敷金を交付した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし正しいものはどれか。

1、本件賃貸借において、Bが甲建物のために必要費及び有益費を支出した場合、特約がない限り、Bは、これらの費用につき、直ちにAに対して償還請求することができる。
2、BがAの承諾を得て、本件賃貸借に基づく、賃借権をCに譲渡した場合、特段の事情がない限り、AはBに対して本件敷金を返還しなければならない。
3、BがAの承諾を得て甲建物をDに転貸したが、その後、AB間の合意により、本件賃貸借が解除された場合、BD間の転貸借が期間満了前でも、AはDに対して、甲建物の明け渡しを求めることができる。
4、BがAの承諾を得て、甲建物をEに転貸したが、その後、Bの賃料不払いにより、本件賃貸借が解除された場合、BE間の転貸借が期間満了前であれば、AはEに対して甲建物の明け渡しを求めることができない。
5、AがFに甲建物を特段の留保なく売却した場合、甲建物の所有権の移転とともに賃貸人の地位もFに移転するが、現実にFがAから本件敷金の引き渡しを受けていないときは、BF間の賃貸借契約の終了時に、FはBに対して、本件敷金の返還義務を負わない。



胡桃「敷金に関する問題だわ」
建太郎「うん。現行法では、敷金に関する規定はないから、判例によるんだよな」
胡桃「そうね。ただ、改正法では、敷金に関する条文が追加されているから確認しておいてね」
建太郎「おう」





胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「これは条文の問題だな」

(賃借人による費用の償還請求)
第六百八条 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
2 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

建太郎「必要費については直ちに返還請求できるけど、有益費については、賃貸借の終了の時に請求できるに過ぎないわけだな」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「正しいよな。賃借人が、その地位を他人に譲渡して、賃貸人がそれを承諾すれば、賃貸借が終わったようなものだから、賃借人は、敷金を返還してもらえるんだよな」
胡桃「判例の事例だわ。もちろん、その後、新賃借人が改めて、敷金を差し入れることになるわね」
建太郎「うん、OK」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「適法な転貸借がなされている場合は、賃貸借が合意解除されたとしても、転貸借に影響はないんだよな」
胡桃「そうね。つまり、賃貸人は合意解除をもって転借人に対抗することができないということね」
建太郎「OK」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「賃貸借が債務不履行により解除された場合は、賃貸人は賃貸借契約の終了を転借人に対抗することができるとされているよな」
胡桃「合意解除の場合との違いを確認しておいてね」
建太郎「OK」
胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「賃貸人の地位の移転があった場合、敷金はどうなるかという問題だよな」
胡桃「そうね。どうなるかしら?」
建太郎「原則として、旧賃貸人から新賃貸人に対して引き継がれることになっているよな。だから、新賃貸人との間で、賃貸借契約が終了した場合は、賃借人は、新賃貸人に対して敷金返還を求めることになると」
胡桃「2の賃借人の地位の譲渡とは、結論が異なることを確認しておいてね」
建太郎「OK」
胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「2だな」









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